◆経営の構造/Business hierarchy

企業経営あるいは企業活動は、一つの体系に基づいて行われます。

その体系は、経営の構造(ビジネス・ヒエラルキー)と呼ばれるものです。

経営の基礎知識のスタートとして、この構造について書いてみたいと思います。

なお、この構造に基づいてそれぞれのパーツをこの経営知識でご紹介します。

経営者や部長クラスあるいは一般社員のスタッフは、

  一体どのような仕事をしなければならないのでしょうか?

 

これを考えるためには、経営の構造を理解する必要があります。

経営の構造。これは、「ビジネス・ヒエラルキー」などとも呼ばれますが、企業活動における機能を体系化した内部の仕組みです。

(※ヒエラルキーとは「階層」のことです。)

【企業活動の理解】

企業は、一つあるいは複数の業界内で活動していますが、大概の企業は「組織的に動いている」はずです。そして、でたらめに活動しているわけではなく、組織内の人にはそれぞれ使命があり、その使命の連携のもとに調和を取りながら進んでいきます。

では、その企業活動上の組織における使命はどのように定義するのでしょうか?

これは、企業活動がどのような手順で行われるのかを整理・体系化することで理解が進みます。

企業活動は、

「自社の創業からの想い」に基づいて、将来こうなりたいという「夢」を持ち、「商品やサービスを効果的に市場に供給」します。そしてこれをどのような順番でどのような活動をすべきかを考え、実行してゆきます。

ビジネス・ヒエラルキーは、このような一連の企業活動を組織内で役割分担して取り組むための構造を示したものです。

【経営の構造/ビジネス・ヒエラルキー】

企業活動の種類に基づいて階層化したものですが、諸説ある中で比較的一般的に認識されているのは図の6つの階層です。

ミッション/理念

自社が社会で存在している理由

ビジョン/目標や夢

将来、自社が到達したい姿やイメージ

経営戦略

ビジョン実現をめざし競争優位を実現する考え方やシナリオ

経営計画

ある特定の期間における行動計画(アクションプラン)

経営管理

経営計画の進捗状況を把握・評価し、フォローすること

日常業務

日々の業務内容

理念やミッション(社会的使命)は、自社が市場や社会で必要とされている理由と言え、これがないとそもそも企業経営をしている意味がなくなります。

そして、この理念に基づいて将来「こういう状態になっていたい」という姿を描くこと(ビジョン)で、現在との差が明らかになります。この差を埋めるために、どのような考え方で進んでいったらよいかという基本的な台本(シナリオ)を考えたものが経営戦略です。

次いで、今を起点にした一定期間で具体的に取り組む内容や打ち手(戦術)を設定したものが経営計画になります。

計画は、あくまでこういうことをこのような時期にやりたいという仮説ですから、大抵の場合計画からズレます。このずれを適正に把握して修正してゆく活動が経営管理となり、これと密接に連動しながら日常の業務を行ってゆきます。

 

このように、企業経営は自らの存在意義から日々の活動まで、一本の線でつながって調和された状態で進めることが理想的です。

ところが、現実にはそれほどきれいにつながっていないことが多くみられます。

その大きな理由は、企業が組織で動いているために、構成員がこの構造を逸脱した活動をすることが起こるからです。

【職務階層と仕事の範囲】

組織活動は、企業内の組織体系に基づいて位置づけられた人が、それぞれに与えられた使命(ミッション)に基づき業務を行うことが求められます。この組織体系は、大雑把にみると企業活動の全体を指揮統括する「経営者層」、いくつかに細分化された組織がスムーズに活動するように支援する「経営管理層」、そして個々の仕事を担う「一般社員」の3つに分かれます。

経営者層は、企業のあるべき姿を描き会社という船を引っ張ってゆくことが求められますので、「理念~経営戦略」を描き出すことが仕事になります。

経営管理者層は、実戦部隊の長として与えられた組織のメンバーが調和しながら計画を達成するようにリードしてゆくのが仕事になります。

そして、各社員は与えられた職務を適正に行うことが求められます。

 

このように職務階層ごとに仕事の範囲(あるいは種別)が図のように変わるのが本来の姿ですが、極端な例として「代表取締役経理マン」や「お客様担当部長」のように、自らの本来の使命を全うされないという現象がみられることがあります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

大抵の企業も最初は少ない人数でスタートしたはずです。このような状況では、会社の方向性を決めるのも現場でお客様と接したりモノづくりに励むのも手分けしてやらないと会社が回りません。

ところが、徐々に規模が大きくなって従業員数が多くなっても、階層の上の人間が相変わらず「俺の目の黒いうちは・・・」と現場での業務を離さないという現象が出るからなんです。

「権限委譲」は、組織的な活動をするうえで必須です。規模が多少でも大きくなったら、職務階層に応じた仕事の質を変える必要があります。

【時間軸で見る経営の構造】

この経営の構造/階層は、上下の構造であらわされることが多いのですが、これは時間軸で見ると異なる姿が見えてきます。

 

つまり、階層が上の方が比較的長い期間変化しないことが多くなり、下の方は日々の環境変化に合わせてめまぐるしく変わってゆくという性質を持ちます。

 

近年、経営環境が様々な要因からその変化サイクルが早くなっているといわれています。そのため、本来4~5年という期間での行動計画を立てる中長期経営計画は、ほとんど意味を持たないと考えている企業が出てきています。

[経営相談

初動期の相談はフィーはいただきません。ご遠慮なくご相談ください。

お問い合わせまで。